もう迷わない。
――今だけは目を逸らさない。

友達でいた方がいい。
それはわかっている。
けれど、それ以上を求めたくなる――

その日、アパレルメーカーの営業をしている小坂雅季は
高校の同窓会に来たことを後悔していた。
まるでお見合いパーティーのような会場で
色めいた視線を向けられるのにうんざりしたのだ。
ところが、大して親しくなかったはずの同級生・岡田航に声をかけられ
思いがけず楽しい時間を過ごす。
どこか掴みどころのない岡田との時間は心地よく、
互いの趣味が映画だとわかってからは度々会うようになった。
岡田に会えるのが嬉しい。
いつの間にか雅季の中で岡田の存在は増していき、
友情だと思っていた勧請は変化していって――？

b's garden
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