映画に登場する、人生も半ばを過ぎた女たち。その誰もが私たちと同様に喪失や孤独、捨て去れない愛憎にとらわれている――。
私はシネフィルでも映画評論家でもありません。そこで、物語に没入した一観客の立場で、映画の中の女性たち一人一人ととことんつきあいながら書いていこうと思いました。音と映像の総合芸術である映画というジャンルを扱っているにしては、その一要素でしかない(と言っても非常に重要な要素ですが)物語に重点を置く書き方になっているのは、そのためです。注意したのは、自分の言いたいことのために作品を利用しないということ。結果、私にとってはからずも、「見えるものの意味作用を解き明かしていく作業」と、「“女”という厄介なものについて言語化する作業」の同時進行となりました。(本文より)
取り上げる映画作品の魅力と共に、現代の女性たちへ贈るエールの数々――。