Special

『AKB商法とは何だったのか』発売記念!
さやわか(著者)×ヒラノノゾミ(BiS)対談

ヒラノノゾミ さやわか

AKB48はなぜ批判されるのか? という疑問を発端に、「今のアイドル」や「今の音楽シーン」を語り尽くした『AKB商法とは何だったのか』。アイドルを批判も賞賛もせず、豊富な資料に基づいて日本の現状をじっくり考察した好著として各方面から評価されています。そこで公式サイトでは、本書でも今日型のアイドルとして紹介されているBiSのヒラノノゾミと、著者のさやわかによる対談を企画しました。『AKB商法とは何だったのか』の主役であるアイドル自身が、果たして本書をどのように読んだのか? それはやはり、非常に興味深く、また含蓄に富んだ対談になりました。

Part.1
BiSは「いま疲弊させるアイドル」なのかもしれないですね





ヒラノノゾミ さやわかさんには、以前『クイックジャパン』でインタビューしていただいて。

さやわか よく覚えていらっしゃいますね。あの時はまだBiSが結成された直後だったので、マネージャーの渡辺さんに「BiSはどういうグループにしたら売れますかね」って、ざっくりした聞かれ方をした覚えがあります(笑)。

ヒ (笑)。

さ そもそもインタビューの主旨が“BiSはどういうグループにしたらいいか”でしたね。

ヒ そうでしたね。

さ そこで「BiSは新生アイドル研究会、新しいアイドル像を研究するグループというコンセプトなんです」って言われたんですけど、「じゃあ新しいアイドル像って具体的に何を目指せばいいんだろうね」っていうくらいの話で、当時は終わったわけですよね。

ヒ はい。

さ その記憶があったわけではないんですが、今回『AKB商法とは何だったのか』を書いた時に、本の最後のほうでBiSの話を書かせていただいたんです。

ヒ ありがとうございました。読ませていただきました。

さ どうもありがとうございます。恐縮です。

ヒ AKBさんのCMの真似をしたプロモーションの話ですね。

さ そうです。公共広告機構のCMのパロディで、BiSのメンバーが「同じCDを何枚も買おう」と書かれたフリップを持っている。これは誰のアイディアだったんですか。

ヒ これは渡辺さんですね。

さ 渡辺さんのこうしたセンス、オモシロヤバい感じは、BiSのメンバーとして面白がってやってるんですか?

ヒ 最初は、突飛すぎてわからなくて。『My Ixxx』の全裸ふうPVもそうですが、戸惑うことは多いんですけど、後々、ちゃんと受け入れられるようになってるかなとは思います。

さ ヒラノさんは結成時からのメンバーですが、慣れましたか。

ヒ 最近やっと慣れましたね(笑)。

さ 最近ですか(笑)。どれくらいから慣れたんですか?

ヒ 両国国技館でワンマンライブをやらせていただいた辺りから。

さ けっこう最近じゃないですか! 自分たちが本当にお客さんに受け入れられているということがわかって、安心できたんでしょうか。

ヒ そうですね。ネットではファンの方が議論してたりするんですが。

さ (笑)。

ヒ でも、それも見せていただいています。本にもありましたけど、そういうネットでのファンの方たちのやり取りも含めて、今のグループっぽいのかなと。モー娘。さんとかAKBさんと比較したらあれですけど、ちょっとだけ同じ視線を持って観てもらえてるのかなって印象があります。

さ なるほど。わーすげえ、僕の本、読んでくださってますね。ありがとうございます(笑)。

ヒ 面白いです、凄く。

さ 今日、なぜ僕がヒラノさんとお話しさせていただこうと思ったかというと、ヒラノさんはアイドルがもともとお好きだったわけじゃないですか。

ヒ はい。

さ それもあって、是非にと思ったんですね。BiSは面白いポジションにいるグループとして『AKB商法とは何だったのか』で紹介したし、ヒラノさんはその中でも、もともとアイドルが好きでアイドルになった方でもある。だからこの本をどう読んでくださるか、知りたかったんです。前にお話を聞いた時も伺いましたし有名な話ではあるんですが、結成前とかにYouTubeでずーっとKポップやアイドルをご覧になってたんですよね。少女時代でしたっけ。

ヒ はい。いろんなグループを観てるんですけど、やっぱり韓国は少女時代さんで一貫してますね。

さ 日本のグループも、ずっと追い続けてるんですか。

ヒ いろいろです。話題になる子は地下とか地上とか関係なく観てますね。Twitterでフォローしてる方たちの情報がすごく早くて。「この子たち気になる」とか「この子たちヤバい」とか。

さ 自分のタイムラインを見ているとそういう情報が入ってくる。

ヒ イヤでも入ってくるというか(笑)。

さ そういうアイドルと自分たちを比較することはあるんですか?

ヒ ないですね。

さ ないんですね。BiSをアイドルだとは認識しているんですか?

ヒ 一応、アイドルになりたくてやってるコンセプトで、ルイちゃんも私も、それは初期から変わってないんです。でも自分たちでも今後どこに向かうかはわからないので……。

さ まだそうなんですか。ある程度見えてるわけじゃないんですね。

ヒ こないだファンクラブが作られまして、それが1年限定なんですよ。

さ BiSは「来年の日本武道館での解散ライブを目指す」と明言していますからね(笑)。

ヒ 解散までということらしく、1年経たないうちに解散しちゃっても、あのう、ちょっと、お金は返せないよ、みたいなことが書いてあって、いよいよ終わりに近づいてきたんだなっていう気がして……。

さ (笑)。avexからメジャーデビューすることが決まった時は、「売れた」感をある程度みんな感じたと思うんですけど、自分ではあまりそういう実感はないんでしょうか。

ヒ むしろ、自分で知らないうちにネットで話題になることが多くて、驚きがありました。第三者みたいな。自分も第三者で。他のレーベルさんからもお話はいただいてたみたいだったんですけど……。でも拾ってもらって大丈夫なのかなっていう気持ちがすごくあって……こういうグループなので。

さ いやいや、ファンにも支持されていますしね。

ヒ そうですね。研究員さん(※BiSにおけるファンの呼称)、ホントに不思議な人たちだなと思います。わざわざ応援してて疲れるBiSを見ててくれるのは、奇特というか変だなあって。

さ 疲れるアイドルですか?(笑)

ヒ はい。24時間インストアをやった時にもタイトルに「愛DOLはみんなを疲弊させる!? 24時間耐久フリーライブ&握手+チェキ会」って書いてあったんです。BiSは「いま疲弊させるアイドル」なのかもしれないですね(笑)。


ヒラノノゾミ

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